戦国大名小田原北条氏は、関東一円に勢力を伸ばし、多数の城郭を築き、支配体制を固めていました。小田原北条氏の拠点である小田原城(写真1)を抱える箱根ジオパーク地域でも、多くの城郭が築かれました。

これらは足柄山地地域にあるもの(足柄城、阿弥陀尾砦(あみだおとりで)(写真2)、古楢尾砦(こならおとりで)など)と箱根火山地域にあるものに分かれます。

カルデラ火山である箱根火山地域にあるものは、外輪山にあるもの(塔ノ峰城(とうのみねじょう)御所山砦(ごしょやまとりで)など)と前期中央火口丘にあるもの(鷹ノ巣城(たかのすじょう)湯坂城(ゆさかじょう))がありますが、後期中央火口丘に作られたものはありません。これらは、互いに連絡を取り合えるようネットワークが構築され、西方の豊臣秀吉(とよとみひでよし)の脅威が増すにつれ、強化されていきました。

富士山がよく見える足柄峠にある足柄城跡の広場の土地は、毎年9月第2日曜日に開催される「足柄峠(ふえ)まつり」の綱引きで、南足柄市と静岡県小山町(おやままち)との間で領有権が決められています(写真3)。

写真1 小田原城址の小田原北条氏時代の庭園の跡
写真2 阿弥陀尾砦跡の土塁
写真3 綱引きで領有権が決められる足柄城址の広場