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御嶽神社 (みたけじんじゃ) 矢佐芝石丁場 (やさしばいしちょうば)

かながわの歴史を彩った石の文化

1 矢佐芝石丁場

箱根外輪山の山中には、江戸城や小田原城の石垣用の石材を切り出した石丁場が各所に
ありました。現在でも、未完成の石材、また石を割るための矢穴 (やあな)のある石が南足柄市内に見られ、矢佐芝地区には現在確認できる最大級のものがあります。(写真1)。

この地域で石材として使われていた溶岩は、27万~23万年前に噴出した輝石安山岩 (きせきあんざんがん)で、箱根火山外輪山の明神ヶ岳が起源と考えられています。

写真1 割るための矢穴が入った巨岩(南足柄市矢佐芝地区)

写真2 輝石安山岩

2 久野石 (くのいし)(かま石)

久野石は小田原市久野和留沢地区の久野川上流域に分布しています。火山礫や軽石、火山岩片などが固結してできた火山礫凝灰岩 (かざんれきぎょうかいがん)もしくは凝灰角礫岩 (ぎょうかいかくれきがん)で、明神ヶ岳起源の火山砕屑物 (かざんさいせつぶつ)が固結したものと考えられています。南足柄や小田原では「かま石」とも呼ばれ、蔵や石垣、石段などとして使われたほか、耐火性があることから(かまど)や七輪の素材などにも使われました。
御嶽神社への参拝用の石段もこの石が使われています。(写真3)

写真3 御嶽神社の石段

写真4 久野石

箱根火山の生い立ち

約40万年前から活動を始めた箱根火山は、23万年前までに複数の成層火山を形成しました。23万~13万年前にかけて大量の軽石を噴出する激しい火山活動が起こり、火山の中央部に大きなカルデラを形成しました。その後、13~8万年前までの間にはカルデラ内で火山活動が続き、カルデラの中に溶岩が流れ出て、盾状火山が形成されました。8~6万年前には、大量の軽石を噴出する箱根火山最大級の火山活動が起きました。その後の6万~3000年前までのカルデラ中央部で最後の火山活動が繰り返され、中央火口丘が誕生しました。

文章および写真について

「石展」かながわの歴史を彩った石の文化 神奈川県立歴史博物館(2016年)を本ページ用に再編。
「石展」・・・2016年に神奈川県立歴史博物館所蔵と神奈川県立生命の星・地球博物館の共催で開催した特別展
写真1.  神奈川県立歴史博物館所蔵
写真2.4 神奈川県立歴史博物館所蔵
(神奈川県立生命の星・地球博物館承諾のもとで歴史博物館の写真技師が撮影)
写真3.   箱根ジオパーク推進協議会撮影