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蛇骨渓谷(じゃこつけいこく)を作り出した「早川泥流堆積物(はやかわでいりゅうたいせきぶつ)」と河川の浸食

蛇骨渓谷は、およそ4万年前に堆積した「早川泥流堆積物」の地層を早川とその支流の蛇骨川が浸食することでうまれた険しい渓谷です。早川泥流堆積物は、現在の中央火口丘群にあったかつての小型の成層火山体(先神山とされる)の一部が山体崩壊したことにより、山体を構成していた岩石や砕屑物が水とともに運ばれて堆積したものと考えられています。この早川泥流堆積物により埋積された当時の早川の河床は、その後に急激な下刻作用(かこくさよう)を受け段丘化しました。早川泥流堆積物のつくる段丘とその堆積物は、宮ノ下から大平台、箱根湯本にかけて分布し、その平坦面からは深い谷底をもつ早川の景観を望むことができます。


湯本の早川沿いで見られる早川泥流堆積物


段丘面(橙色)に建物が立ち並ぶ一方、段丘崖(灰色)は急斜面となり、深い渓谷を作り出しています。

河岸段丘を利用した宮ノ下

段丘面上に位置する宮之下は、急崖の多い蛇骨渓谷における貴重な平坦地であり、多くの建物が立ち並んでいます。江戸時代から箱根七湯の一つとして湯治客が訪れていましたが、明治時代になると富士屋ホテルなど洋風の建物が建築され、外国人の人気のリゾート地としても賑わいました。また、富士屋ホテルの山口仙之助氏は、蛇骨川の水を富士屋ホテル本館裏に引き、1893年に水力発電所を設け、ホテル内の点灯用に供しました。その後1904年に早川の水利権を取得し、早川沿いに水力発電所を新たに建設。宮之下水力電気合資会社を設立して1906年に開業しました。この発電所からは、周辺の村に電力が供給されました。


富士屋ホテル提供